神戸大学は国際都市神戸にある国立大学として、アジア、中南米、オセアニアを中心とする経済研究、東南アジア一帯の医学調査研究、中国、ロシアなどにまたがる地質学研究など、これまで多くの足跡を世界各地に残してきました。
また、登山と探検の歴史も古く、南米パタゴニア、チリ・ボリビアアンデス、カナダユーコン、カラコルム、チベットなどにおいて輝かしい成果をあげてきました。特に1986年、神戸大学チベット学術登山隊は、当時未踏峰では世界第2位の高さを誇っていたクーラカンリ峰(7554m)の初登頂に成功し、同時にチベットと四川省において学術調査を実施し多くの成果を挙げました。
この成功を機に、神戸大学と中国との登山・学術交流を発展させてきました。1988年には中国地質大学(武漢)体育部と神戸大学山岳部との合同で、四川省のチェルー山(6168m)の初登頂に成功しました。
さらに2009年11月、神戸大学山岳部・山岳会は、再び中国地質大学(武漢)登山協会と合同で、中国チベット自治区にあるカンリガルポ山群に学術登山隊を派遣し、ロプチン峰6805mの初登頂に成功しました。
神戸大学山岳部は2015年に創部百周年を迎えます。これを機に記念登山として三度目となる中国地質大学(武漢)との合同の学術登山隊を派遣することで両校合意しました。対象としては、拉薩の北西に位置し、チベット第2のナム湖の南東岸にありますニンチェンタンラ(念青唐拉)山脈の未踏峰未踏峰バダリ峰(BadaRi;6455m)の初登頂を目指すこととし、すでに2014年11月に現地偵察を実施しました。
学問や研究では最初にその分野を切り開いていくことに、常に高い評価が与えられます。登山でも同様であり、誰も行ったことがない未踏峰へ自分たちでルートを開拓し、初登頂することは、それだけ困難が伴いますが最も価値ある登山です。神戸大学山岳部・山岳会はこの考えのもとに常に未知を求めて未踏峰を目指すスタイルを踏襲しており、その活動は今世界の登山界から注目されているところです。加えて登山を通じて日本と中国の学生が交流することは日中友好に果たす役割も少なくないと考えています。
2015年秋の登山隊は無事に帰国いたしました。所期の目標であったバダリ峰は登頂できませんでしたが、近傍のTa Ri 峰6330mに初登頂致しました。皆様方のご支援に深く感謝いたします。
2015年11月
神戸大学山岳会
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